アップサイクル最新イノベーション事情

学界の数人の食品技術者がこの夏シカゴで開催された IFT FIRST のパネル ディスカッションに参加し、新しい栄養補助食品成分を開発する目的で食品加工研究者が行った最近のイノベーションについて取り上げていました。

(以下、写真は全てイメージです)

近年、欧米でも大豆の消費量が増加しており、そのヒミツは高い栄養素やブランドプロテインへのニーズです。しかし、大豆のウォータフットプリントは1Kgあたり9Kg・・。また生産時に廃棄される豆腐ホエイにはまだ栄養素が含まれているといいます。これらを利活用するために、豆腐の廃水処理ストリームから生物活性ペプチド ルナシンを取り出す技術が紹介されました。またルナシンに関して専門調査が行われ、ルナシンという抗炎症・抗酸化物質のその抽出物が腸の健康に良いということがわかりました。

ニューファンドランド記念大学の Fereidoon Shahidi 教授は、フェノール系抗酸化物質など、栄養成分の最大の未開発の流れの 1 つとして種子加工を特定。種子は、健康増進効果がある可能性のあるフェノール化合物や繊維が豊富であるにもかかわらず、皮やコートを取り除く処理を受けることがよくあるといいます。効果としては、ストレス関連疾患を緩和するものです。抗酸化物質の可能性を見ると、穀物の外側から内側に行くと、フェノール類がますます少なくなるとのことで、アップサイクルの重要性が提唱されました。

食品廃棄物の削減を目的とした技術の開発において、一つに、食品メーカーからの生の副産物の品質がしばしば変動しやすく、品質の一貫性がアップサイクル製品にも求められます。また、特定の副産物に毒素が集中して食用に使用できない、もしくは動物用飼料にも適さない場合があります。こういったアップサイクルプロセスのスケーラビリティを事前に判断することは非常に難しく、大きな課題ですが、これには数百万ドルの投資が必要となり、官民の協力が求められます。
また、研究と産業における適用可能性のギャップを埋める1つの方法は、副産物の生産を地域化することである可能性があります。手が届きにくい場所で食品を生産し、グローバル化されたサプライ チェーンに頼るのではなく、生産された場所で材料を活用することで、CO2排出量とアップサイクル製品の生産コストを削減できます。
このように、単に”アップサイクルすれば”というのは、もはや時代遅れとなりがちで、そのアップサイクルが何を生むか(環境価値)、アップサイクル製品への安定供給・生産コストもサステナブルであることが求められます。