6月18日は「持続可能な食の日」。欧米最新「アップサイクル」トレンドと日本での理解

本日6月18日は、「持続可能な食の日」。持続可能な食をかなえる一つに、オーガニック農業の推進があります。オーガニック農業の根本は健全な土壌保全。そのうえで、農薬や化学肥料による温室効果ガス排出を抑制することが求められます。日本では、昨年から「オーガニック3.0」の動きが高まり、国内のオーガニック農業を2050年までに30%に普及することが求められています。農産物のみならず、農産物を原料とした加工食品、日用品、化粧品などへも関係しています。

食品業界では、全ラインのうち、サプライチェーン上で食品が40%廃棄されているという現状があり、環境負荷の90%はサプライチェーンに起因といわれています。ここで、アップサイクルが大ブームとなっています。アップサイクル食品を採用すれば、温室効果ガス700億トンあまりの削減になるといわれています。
欧米では、廃棄物削減が温室効果ガス削減につながるとよく理解されているので、消費者ニーズとしても、「アップサイクル」というワードが気になる環境クレームのひとつとされています。欧米で話題のアップサイクル商品は、
日本のカボスナチュラルズ社によるUFAと最初に提携したカカオフルーツブランド、カカオフルーツで出来た飲料の販売を行っています。米国RIND社は、本来捨てられていた果物の皮や皮を含んだドライフルーツスナックを生産し、2020年には500%の収益増加を報告しています。また、本来ほとんど廃棄されているチーズの副産物ホエイを使用して革新的なクラフトスピリット(ホワイワードスピリット)もあります。Re​​Grainedは、醸造所のパートナーと協力し、醸造プロセスで砂糖が抽出された後、ビールの製造に使用された使用済み穀物を利用しています。チョコレートの生産においては、収穫されたカカオ植物の約30%だけが、消費者が慣れ親しんでいるチョコレート製品の生産に使われているとのことだが、UFAによると、毎年1,000万トンのカカオ果実が無駄になっており、成分をアップサイクルすることで、年間35億本の木を植えるのと同じ規模で二酸化炭素を削減できることから、近年残りの70%を利用し始めています。100%カカオフルーツから作られ、伝統的かつベルベティ(ミルクの追加を含む)の品種で利用可能なWholeFruit Chocolateは、一般的なダークチョコレートやミルクチョコレートよりも砂糖が40%少なく、繊維が約90%、タンパク質が25%多くなっていることから、地球だけでなく健康志向の消費者にニーズが高くなっています。

日本でも、コーヒーはすでに国内でも事例があり、煎ったコーヒー豆をアップサイクルして雑貨やアパレルなどへの製品化がされています。化粧品部門では、まだ具体的な事例はないですが、もちろん化粧品原料としても期待できます。
崎陽軒がアップサイクル原料を採用した”もったいない弁当”を展開したり、マグロ加工の間にでる廃棄物などを利用したペットフード(おやつ)(MellowBear)もでてきました。

MellowBear

今後、様々なアップサイクル製品を目にすることが期待される半面、アップサイクルというものの本質が十分に理解されず、例えば、レモンの抽出物だけでなく皮までを惜しみなく使用することをアップサイクルというなど、ウォッシュというか”誤解”されたアピールも目立ち始めました。環境・サステナビリティの分野では、日本はまだまだ発展途上なため、そのアップサイクルが、しないよりもどの程度環境負荷改善になるのかなど、明確に打ち出す必要があります。