アメリカで起きた人種差別問題を受けて、様々な業界で誤解を招くブランド表記や広告表現が見直され始め、それは化粧品業界にまで及んでいます。これはグローバルトレンドであるSDGsの影響をかなり受けているといえます。そもそも人種差別問題は根強く残っていたものの、逆に、今の世論だからこそ注目されていると思われます。
これまでの風潮をまとめると、ユニリーバやロレアルなどのグローバル企業がさっそく方針を打ち出し、ホワイトが優位になると誤解されやすい表現を削除するなどしています。一方で国内大手は、そうでないと説明を行ったり、まだ検討中などと見解が分かれています。これには、化粧品における”美白”というのは日本が発祥というのがあり、(差別する意思などなく)、黄色人種から見た白い肌への憧れ(=欧米人)からできた言葉です。
化粧品以外で身近なところだと、歯がありますが、実際のホワイトニングと化粧品的な歯の美白では大きな差があり、ホワイトニングというのは本当に白くする(かぶせるなど)ことで、美白要素では「歯の本来の白さ」(この白はいわゆる白ではない)という表現を使います。化粧品での美白というのは、消費者の暗黙の了解の中では、これに近いものでしょう。
日本に母体を持っ企業では、こういったことに理解があり、今すぐ取りやめることはしないだろうと思いますが、グローバル企業では、日本含め様々な人種の方に販売しているので、そうせざるを得なかったと思います。また、これにはSDGsが大きく関係していて、ロレアルも最近SDGsへの取り組みも発表したばかりですし、ユニリーバなんかはすでにSDGs先進企業でした。化粧品の美白に関しては、一見”やりすぎ”な面もありますが、投資家から企業理念に反してしまうとも見られてしまうのも危惧して、先行して方針を打ち出したのでしょう。
いい意味で変わっていくとすれば、これまでの”白くする” “白がいい”ではなく、シミを目立たなくする、肌のトーンを上げる(少しグレー?)、くすみをケアするなど、(すべて化粧品に配合されている成分の機能として) 具体的な要素へと変わってくるのかもしれません。ところが、これまで人気の高い、そういった質の良い日本製の美白化粧品が、海外では今後受け入れられなくなる可能性もあり、今後のグローバル情勢を見定める必要がありますね。